日本塩業地図
資料解題
かつては日本の各地にあった塩田ですが、明治から昭和にかけて計4回にわたって実施された「塩業整備」(製塩地整理)により次第に整理されていき、昭和45(1970)年から46年にかけての「第四次塩業整備」によって、全廃されることになります。
※ 第1回目及び第2回目の「製塩地整理」については、本デジタルライブラリーに掲載している「製塩地整理事蹟報告」及び「昭和四年度 昭和五年度 製塩地整理概要報告書」をご覧ください。
この『日本塩業地図』は、『全国塩田地図』(昭和29(1954)年ごろ。令和5(2023)年にデジタルデータを公開)に続き、昭和34(1969)年3月に日本専売公社塩脳部が発行した全国の塩田の地図です。原資料冒頭の「説明」によると、昭和33年2月付の公社の通達により制作されましたが、その後の異動もできるだけ反映しており、ほぼ、昭和34年2月時点の体裁を整えているということです。その時点で、全国には約4,520ヘクタールの塩田がありました。この数値は、『全国塩田地図』(昭和29年4月1日現在)の約4,725ヘクタールに比べて、約200ヘクタール減少していますが、戦後の「自給製塩」から「専業製塩」への転換に際して廃止された分と考えられます。
昭和34年2月というタイミングですが、この直後、同年から翌35年にかけて、塩専売制導入以来3回目、戦後では初となる「第三次塩業整備」が実施され、多くの塩田が整理(廃止)されています。「第三次塩業整備」での整理面積は2,000ヘクタール超に及びますが、本資料は、その直前の全国の塩田の様子を示した地図ということになります。
本資料の時点で、塩づくりの方法的には、採かん分野では『全国塩田地図』の時点ではまだ普及し始めであった「流下式塩田」がほぼ全国に普及しており、またせんごう分野でも、従来の平釜式及び蒸気利用式から、真空式への転換がほぼ完了していました。一方で、これらの普及に伴う生産性の向上等により、生産された塩の全量収納(買入れ)を行っていた日本専売公社は、過大な在庫に悩まされていました。そして、「第三次塩業整備」は、この過大な在庫の解消を大きな目的として、実施されるのです。
この『日本塩業地図』は、そのような時期の日本全国の塩田について、所在地だけでなく方式別の面積、せんごう方法などを示したものです。また、それら「地図の部」に加え、「表の部」として、塩田、製造関係だけでなく公社機能、輸入、流通等についての統計情報なども収録されており、当時の日本の塩業に関する統計資料としても活用できます(原資料冒頭の「説明」では、「日常の業務に便なるため、塩に関する主なる資料を集録した」とあります)。そういった様々な意味で、本資料は貴重な資料といえるでしょう。
ご利用に当たって
以下に掲載しているのは、昭和34年3月に日本専売公社塩脳部が発行した『日本塩業地図』(全一冊)を、公益財団法人塩事業センターが電子化(PDFファイル化)したもの、及びPDFファイルの一部(表形式のページ)を、Excel形式で書き下ろしたものです。
原資料はほぼA2サイズの片綴じで、昭和34年2月時点の全国の塩田の地図と、塩専売事業に係る各種の統計情報からなります。これらは、原資料の「目次」においては、各地の塩田の地図の「図の部」と、統計情報の「表の部」に分けて記載されています。また、「表の部」に掲載されているもの以外にも、「図の部」の各地図の前ページには、次ページに対応する表(塩田の面積など)が掲載されています(原資料では、見開き状態で左側に数値データ、右側に地図が表示されるようになっています)。PDFファイル化は、「図の部」「表の部」の全てのページ(白紙のページを除く)について行っております。また、表形式のページについては、原資料のサイズや文字の大きさに鑑み、PDFファイルでは読みづらいと考えられたので、Excel形式で書き下ろしています。
表の書き下ろしに際しては、原資料の掲載数値が誤っていると思われる箇所もありますが、そのままにしています。ただし、該当セルをピンク色で着色した上で、「○○の誤植と推定」といったコメントを入れておりますので、参考にしていただければと思います。なお、原資料で1ページに複数の表が収録されている場合には、Excel上ではシートを分けていることがあります。
PDF及びExcelファイルは、原資料の収録順に掲載しています。ご利用に際しては、「扉、説明・記号、目次」のPDFファイルの「目次」も参照ください。
原資料では、日本専売公社の当時の地方局別に、管轄している塩田の地図が掲載されています。これを受けて、PDFファイル及びExcelファイルは、地方局ごとに分けて掲載しています。ただし、広島地方局及び高松地方局については、地図の枚数が多くPDFファイルの容量が大きくなるため、複数に分割して掲載しています。
原資料は60年以上前に発行されたもののため、紙の汚れ等により読みづらい箇所もあります。また、PDFファイルについては、テキストのOCR処理は実施しておりません。
各PDFデータ及びExcelデータは、ご自由にダウンロードいただけますが、各データ及びこれを印刷したものの商業利用はご遠慮ください
また、『日本塩業地図』の記載内容に関するお問合せには、回答できないこともありますので、あらかじめご了承願います。
PDF・Excelファイル
扉、説明・記号、目次 PDF(11.2MB)
日本専売公社塩関係機関一覧表、日本全図 他
石巻出張所、塩釜出張所
郡山、水戸、宇都宮、高崎地方局 PDF(14.2MB) Excel
磐城出張所
千葉支局
珠洲出張所
下田出張所、豊橋出張所、吉良出張所
姫路支局、田辺出張所、赤穂支局
牛窓出張所、玉野出張所、児島出張所、玉島出張所
松永出張所、尾道出張所、瀬戸田出張所、竹原出張所
柳井出張所、徳山出張所、防府工場、山口支局、下関出張所
直轄、鳴門支局
直轄
坂出支局
詫間出張所、新居浜出張所、今治出張所、伯方出張所
門司支局、直轄、佐世保出張所
豊後高田出張所、大分支局、姫島出張所
串間出張所、鹿屋出張所、指宿出張所、種子島出張所、大島出張所
諸統計表、製塩方式系統図 PDF(33.9MB) Excel
索引、奥付 PDF(9.9MB)