日本塩業地図(1969年版)

資料解題

かつては日本の各地に塩田があり、海水からの塩づくりが行われていました。しかし、これらの塩田は、塩専売制度の導入後、明治から昭和にかけて計4回にわたって実施された「塩業整備」(製塩地整理)により次第に整理され、昭和45(1970)年から46年にかけての「第四次塩業整備」によって、全廃されることになります。

※ 第1回目及び第2回目の「製塩地整理」については、本デジタルライブラリーに掲載している「製塩地整理事蹟報告」及び「昭和四年度 昭和五年度 製塩地整理概要報告書」をご覧ください。

この『日本塩業地図(1969年版)』は、当時の製塩業者の団体である塩業組合中央会が、日本専売公社塩業部と共同で企画し、昭和44(1969)年3月に発行したものです。冒頭の「編纂のことば」によると、昭和34(1969)年3月発行の『日本塩業地図』(日本専売公社塩脳部)は、「その直後から始まった第3次塩業整備のため、実情にそぐわないものとなってしまった」。さらに、「年々、塩田所在地の各周辺は、地方自治体の工業化政策の推進により、急速に臨海工業地帯として発展しつつあり、塩田もまた、その一部を工業用地あるいは道路等にとられ」つつあることから、「大きく変貌してゆく塩田地形を現時点においてとらえ、将来の好個の資料として残す」ことが急務であるという考えから、発行されたとあります。

上記の「第3(三)次塩業整備」では約2,000ヘクタールの塩田が廃止されており、同整備の前の『日本塩業地図』の時点では塩田を管轄していた日本専売公社の複数の地方機関が、本資料の時点では、もはや管内に塩田が存在せず、塩田を管轄していません。そして、本資料の発行直後の昭和45年から「第四次塩業整備」が行われ、本資料に掲載された塩田の全てが廃止され、日本の海水からの塩づくりは「イオン交換膜製塩法(イオン膜・立釜法)」に全面転換することになります。

一方で、本資料の発行時点では、日本の塩づくり(採かん)の大部分は塩田(流下式塩田)ですが、昭和30年代に実用化された「イオン交換膜法」も一定の割合を占めていました。本資料時点のイオン交換膜法の製塩業者が必ずしも第四次塩業整備後につながるわけではありませんが、日本の塩づくりの変遷の実態を示しているといえるでしょう。

本資料には、第四次塩業整備の直前の日本の塩田等について示している「地図」の部のほか、「資料」の部、「統計」の部も収録されています。これらの部では、塩田、製造関係だけでなく公社機能、輸入、流通等についての表や統計情報なども掲載されており、当時の日本の塩業に関する資料としても活用できます。しかし何といっても、日本の塩づくりの主流が塩田であった最後の時代の様子を示しているということに、本資料の最大の価値があるといえるでしょう。

ご利用に当たって

以下に掲載しているのは、昭和44年3月に当時の製塩業者の団体である塩業組合中央会が発行した『日本塩業地図』(全一冊)を、公益財団法人塩事業センターが電子化(PDFファイル化・Excelファイル化)したものです。原資料に記載されている資料名は『日本塩業地図』ですが、昭和34年に日本専売公社が発行した同名の資料(デジタルライブラリーに掲載済みです)との区別のため、タイトルを『日本塩業地図(1969年版)』としています。また、本資料のデジタル化に際しては、塩業組合中央会の後継団体である一般社団法人日本塩協会(旧・一般社団法人日本塩工業会)の承諾を得ています。

原資料はA3縦サイズで、昭和43年3月末時点の全国の塩田の地図と、塩専売事業に係る各種の資料や統計情報からなります。原資料では、地図のページは原則として見開き(2ページ)で1枚の地図が収録されているので、地図については、見やすさを考慮し、ページ単位でなく地図単位でPDF化しています。一方、資料や統計情報のページについては、原資料音1ページを1ページのPDFファイルにしています(このため、縦長と横長のページが混在しています)。また、一部の表については、原資料のサイズや文字の大きさに鑑み、PDFファイルでは読みづらいと考えられたので、Excel形式で書き下ろしたものを合わせて掲載しています。

表の書き下ろしに際しては、原資料の掲載数値が誤っていると思われる箇所もありますが、そのままにしています。ただし、該当セルをピンク色で着色した上で、「○○の誤植と推定」といったコメントを入れておりますので、参考にしていただければと思います。なお、原資料で1ページに複数の表が収録されている場合には、Excel上ではシートを分けていることがあります。逆に、1つの表が複数ページにまたがって収録されている場合には、1シートに統合しています。

PDFファイル及びExcelファイルは、原資料の収録順に掲載しています。ご利用に際しては、「表紙、編纂のことば、目次、説明、記号」PDFファイルの「目次」も参照ください。

原資料では、日本専売公社の当時の地方機関(支社、地方局)別に、管轄している塩田の地図が掲載されています。これを受けて、地図ページのPDFファイルは、地方機関ごとに分けて掲載しています。

原資料は50年以上前に発行されたもののため、紙の汚れ等により読みづらい箇所もあります。また、PDFファイルについて、テキストのOCR処理は実施しておりません。

各PDFファイル及びExcelファイルは、ご自由にダウンロードいただけますが、各データ及びこれを印刷したものの商業利用はご遠慮ください。

なお、原資料掲載の一部の情報については非公開とさせていただいています。また、『日本塩業地図(1969年版)』の記載内容に関するお問合せには、回答できないこともありますので、あらかじめご了承願います。

PDF・Excelファイル

表紙、編纂のことば、目次、説明、記号 PDF(12.1MB)

資料 PDF(25.2MB) Excel

地図

 世界の塩生産量分布図、わが国の塩生産量分布図 ほか PDF(13.8MB)

 札幌地方局、仙台地方局、郡山地方局、水戸地方局、宇都地方局宮、高崎地方局、東京地方局 PDF(8.7MB)

 金沢地方局 PDF(4.6MB)

  珠洲出張所

 名古屋地方局 PDF(8.3MB)

  吉田出張所

 大阪支社 PDF(20.0MB)

  大阪支社、姫路支局、赤穂支局

 岡山地方局 PDF(14.9MB)

  牛窓出張所、玉野出張所、児島出張所

 広島地方局 PDF(18.3MB)

  瀬戸田出張所、高松地方局伯方出張所、柳井出張所、

 徳島地方局 PDF(11.8MB)

  鳴門支局

 高松地方局 PDF(47.8MB)

  高松直轄、坂出支局、詫間出張所、伯方出張所

 福岡地方局、熊本地方局、鹿児島地方局 PDF(3.4MB)

統計 PDF(17.1MB) Excel

附図 PDF(2.8MB)

奥付 PDF(1.0MB)

正誤表 PDF(1.0MB)

※ 高松地方局伯方出張所管内の地図の一部は、広島地方局の部に掲載されています。